「私は赤ちゃんじゃない」認知症の義母と一緒に暮らす苦労
私は88歳で認知症の義母と5年一緒に暮らしています。
他の家族は夫と私だけです。夫は離婚してから10年以上独身でしたので、義母は夫の弟夫婦と同居していたのですが、夫が私と再婚してからは私たちと同居することになりました。
その時には認知症ということがまだ分かっていなくて「年をとってから、かたくなな性格で怒りっぽくなった」という義弟の説明をもとにお世話を始めました。
アルツハイマー型認知症と診断されるまで
しかしそれが認知症の初期の症状だったのでした。
一緒に暮らし始めて一か月ほどした頃に、毎日同じ料理を食べたいと言うことが増えました。
「きのう食べましたよ?」と言っても「そう?いいよ、好きだから」という返事。かと思えば「いらない」と言って食べなかったりします。
それから朝と夜が逆転して、真夜中に急に帰ると言いだして『長い間お世話になりました、今から帰りますので失礼します』と外出着に着替えて丁寧にあいさつをしてタクシーを呼んでくれと言いだしたり、夜中に「ご飯はまだ?」と寝ているのを起こしに来たりするようになりました。
食事がすんで、少し席を外している間に食器を片づけるといって夫の目の前で食器を洗わずに食器棚に入れたことがあり夫を唖然とさせました。
ぜったい普通じゃない、と思って翌朝病院に連れていったところ、アルツハイマー型認知症という診断でした。
夫は驚いてしまい、自分の母が認知症ということに納得がいかず、その日から「しっかりしろよっ」と義母を怒鳴ってしまうことが増えました。
デイサービスに通ってみたけれど・・・
認知症の診断を受けた病院は大きな病院でデイサービスを受けることができました。
週に二回、デイサービスに行くことに決めて義母と一緒に行った一回目は忘れられません。
その当時、義母は他人には認知症には見えないくらいしっかりしており、本人は「私、ボケてるよ」と笑って言いながらも自分が病気だとは分かっていませんでした。
自分で着替えることもできて、時々ボタンを掛け間違ったりする程度でしたので、デイサービスに行って、介護士の方に話しかけられた段階で怒りだしました。
「私は赤ちゃんじゃない」とプンプン。
難しいもので、赤ちゃん言葉を使ってらっしゃるわけではなく優しく話しかけてくれているのに、義母のプライドが傷ついたのでした。
そして、デイサービスを利用している方々が音楽に合わせて軽い運動をしているのを見て「こんな幼稚園みたいなところに連れて来て」と怒って杖でバシバシ私を叩くので、介護士さんが慌てて数名でなだめてくださいました。
とりあえず、その日はそのまま帰宅して義弟夫婦に話をしたところ、骨粗しょう症があるのにそんなところに行って骨折したらいけないからやめてくれ、と怒られてしまい、結局デイサービスには通わないことになりました。
祖母と二人の生活へ。コミュニケーションのきっかけは?
認知症と骨粗しょう症以外に悪い箇所はなく、杖も転ばぬように持っている程度で外出するのが好きな義母ですが、同居して日も浅く義母の好みもよくわからない私との外出はあまり面白くないらしく、スーパーに行ってもドライブに行ってもポツリポツリしか会話が成り立たず、すぐに「もう帰る」ということが増えていきました。
もうどうしたらいいのかわからずに、しかし、日中二人しかいないのに、義母を自室に一人でおいておくわけにはいかず、一緒にテレビを見ることしかできせんでした。
すると、義母が韓流ドラマが好きだということがわかり、今までが嘘のようにいろいろ話してくれるようになりました。
とても認知症には思えないしっかりした話しぶりで今まで見てきた韓流ドラマの話や、自分が幼かった頃の話をしてくれます。
唯一「やっぱり認知症なんだな」と感じるのは、同じ話を何度も何度もすることでした。
小さい頃から結婚する頃までの話を繰り返し繰り返し。私はすっかり覚えてしまいました。
でも、杖でぶたれたり、帰るっと不機嫌な顔をされるよりは機嫌よく喋っている義母を見ている方が私も嬉しいので、笑顔で聞いてあげることができます。
介護認定の申請は、タイミングも考えて
そうしているうちに、だんだん症状が進み、トイレの介助も必要となってきて食事を手づかみにしたり、急に暴れたりするようになり、介護認定を受けて要介護2と認定されました。
現在は、訪問介護をお願いして週に二回身体介護を受けています。
しかし、はっきり喋ったりすることもあって時々は楽しい時間を持つこともあります。
夫もようやく認知症が進んでいることを認めて優しく接することができるようになりました。
要介護の度合い、というのは認知症が進んでいても身体的に元気で介護する側の肉体的負担が軽ければ要介護ではなく要支援になったりするとのことで、認定をしに現状を見に来る人の考え方感じ方にもよりますから、よく考えてタイミングをみてから認定の申請を出されることが大事だと思います。
介護の度合いによって細かく費用設定されていますので、パンフレットなどを熟読しておくと役に立ちますよ。
スポンサードリンク
こちらの記事も一緒に読まれています
関連記事
-
-
【疑問】歩けない祖母の介護をする母を見ていて思うこと・・・
私の母親が実の母親、私からすると祖母の介護をしています。 介護中と言っても、今は施設に預けてしまい
-
-
子宮筋腫からの貧血で治療法に悩んだ結果、私が選んだ方法とは?
10年以上前から子宮筋腫と診断されていました。 たしかに生理痛がひどく、生理の量がおそらく他の人と
-
-
ばね指の治療は医師次第?!効果抜群だった方法とは?
出産後、事情があり、搾乳して子供の入院している病院へ面会・通院を半年していました。毎日、胸が張ってき
-
-
「どこ見ているの?」外斜視で恥ずかしい思いをしてきましたが手術で治しました。
私は物心がついた時に気になっていることがありました。それは外斜視です。 他人が見てもわかる程の斜視
-
-
【やりがい】介護士の仕事について現役ワーカーが語ってみた。
私は高校卒業して祖父の死をきっかけに介護士の道へ進みました。 最初は資格を持っていなくても介護
-
-
【身内全員で看取る】自宅で最期を迎えた認知症の祖父の介護の体験談
認知症の祖父がいました。 夜中にいきなり起きて徘徊、昼間も1人にすると何処かへ行ってしまいます。
-
-
【二度とイヤ】卵巣出血の痛みは気が遠くなるほどの辛さ!
ある日、寝る前に腹痛を感じました。 生理前だから痛いのかな?と思いながら、痛みを我慢して寝ました。
-
-
介護未経験・無資格のパートから出発してケアマネージャーになった話
私は職歴7年になる、ケアマネージャー資格を持つ介護士です。 私が介護職の道に入ったのは、恥ずかしな
-
-
【終わりが見えない】38歳からの不妊治療は考えが甘かったです。
ケガや病気とは少し違いますが、病院に通院しています。不妊治療です。 私たち夫婦は結婚が少し遅く、主
-
-
【87歳】パーキンソン病と認知症を併発してから介護は大変になっていきました
私は祖父と同居しています。 祖父は現在87歳なのですが、15年ほど前からパーキンソン病を患っており