はじめての訪問介護で食事作りに失敗!利用者さんが私に言った一言が・・・
高卒で正社員、介護の仕事に就きました。
特に人の役に立ちたいとか実践経験を積みながらスキルアップなどは考えもせず、面接を受けて受かったから行く、という感じでした。
私が配属されたのは訪問介護事業所でした。
始めは先輩介護士に同行させてもらいながら訪問。
土地勘も無く、会社の車はナビ無し。
ノートに事業所を出てまず右なのか左なのか書く所からスタートです。
右も左もわからない私。利用者さんから学んだ訪問介護のイロハ
ケア同行していると、まだ10代だった私を利用者さんは温かく迎えてくれました。
孫の年齢だったこともあったのかもしれません。
毎日ケア同行し、一ヶ月が経過した頃、いよいよひとり立ちの日を迎えました。
初めて一人で訪問させていただいたのは、独り暮らしの男性利用者でした。
こだわりが強い反面、やる事は毎回同じで新人の登竜門のような利用者さんでした。
ケア同行している最中と、一人でやるのとでは全く違います。
先輩がテキパキこなしていた朝食の準備も、お皿はどこで、パンはどれくらい焼くのか、あんなに見ていたはずなのにうまく出来ません。
私が台所で慌てていると、利用者さんがやって来て、「さんまを焼いてくれ」とおっしゃいました。見よう見まねでさんまを焼きました。結果、失敗です。
それまで魚を焼く、ということをした事がなかったため、焼き方が分からず、魚焼きグリルにさんまの反面がくっついてしまったのです。
『これはクレームになるな…』恐る恐る、利用者さんに謝罪。
黙って私の話を聞いていた利用者さんは台所に行き、言いました。
「分からない事は聞けばいい。」
その利用者さんはその後私にさんまの焼き方を教えてくれました。
ほろ苦いひとり立ちの後も、何度もその利用者さん宅に訪問させていただきケアをしました。
洗濯の干し方、掃除の仕方、調理や掃除のやり方、その利用者さんには様々な事を教えていただきました。
利用者さんの心に触れることで、自分の心を見つめられる
一つ覚える事が出来ると、他のお宅にも訪問させていただき、ケアを出来るようになっていきました。
いつしか登竜門の利用者さん宅には他の新人さんが入るようになり、私は別の利用者さん宅に訪問させていただくようになりました。
ある日、登竜門となっていた利用者さんが息子さん夫婦と同居するため引っ越す事となり、ケア中止となりました。
お世話になったことが山ほどあり、管理者に頼み、久しぶりにケアに入れてもらいました。
ケア後、その方から「孫に教えてるみたいで楽しかったよ。あんたが一つ一つ出来るようになっていって嬉しかった。」とおっしゃっていただきました。
その利用者さん宅から出た後涙が出て止まりませんでした。
お世話になったのは私の方で、他のお宅にも行けるようになったのは、その利用者さんが様々な事を教えて下さったからです。
その時私の中でふつふつと湧き上がってきた思いが確信に変わりました。
【人の役に立ちたい】
以来訪問介護事業所では8年勤め、
その後系列会社の小規模多機能事業所に異動になりました。
どこでどんな職種で介護をしていても、今も人の役に立ちたい思いで仕事をさせていただいています。
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